風疹とは、ウイルス性の病気で、飛沫感染により、ヒトからヒトへ感染する病気である。
特に注意が必要なのは、妊婦への感染です。妊娠中に風疹にかかることで、胎児にどのような影響が起こる可能性があるのか、 いつまで気をつけなければいけないのか、予防法についてご紹介します。
風疹とは?
風疹とは、風疹ウイルスを原因とし、発熱や発疹、リンパ節の腫れを主症状とする感染症です。別名「三日はしか」の名前でも知られていますが、この俗称は、風疹がはしか(麻疹)に類似する症状をみせ、麻疹より短い期間で治癒することが由来です。
風疹と麻疹はどう違うの?
風疹と麻疹の症状は似ているところもあり、また風疹を「三日ばしか」と呼ぶこともあるので風疹と麻疹は同じようなものと勘違いしてしまう人もいるのかもしれませんが、実は風疹と麻疹は原因となるウィルスが異なる全く違う感染症なのです。
風疹の症状
風疹の原因となるウィルスは、トガウイルス科ルビウイルス属に属する風疹ウィルスで、主な感染経路は飛沫感染です。。
感染から14~21日の潜伏期間の後、38℃程度の発熱と同時に発疹・リンパ節の腫れ・咳・ノドの痛み・目の充血などの症状が現れます。
症状は3~4日程続き、4日目を過ぎると次第に症状が治まっていきます。
風疹ウィルスは感染力の強いウィルスですが、感染したから必ず発症するとは限らず、感染しても3割程度の人は発症することがないようです。
麻疹の症状
麻疹の原因となるウィルスは、パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に麻疹ウィルスです。
感染から10日程の潜伏期間の後、3~4日38℃程度の発熱が続き、一旦解熱、再度40℃近い発熱と共に発疹の症状が現れます。麻疹の症状は1週間から10日程で治まります。麻疹の感染力は非常に強力で、接触感染・飛沫感染・空気感染が主な感染経路で、感染するとほぼ100%麻疹を発症してしまいます。
風疹と麻疹の詳細比較
発熱や発疹など風疹と麻疹には共通の症状もみられますが、原因となるウィルスは異なり感染経路や回復までに罹る期間などの点で違いもみられます。
症状についても、風疹は発熱と同時に発疹の症状が現れることがほとんどですが、麻疹は3~4日の発熱後一旦解熱した後再度の発熱と発疹が現れるなど、細かな点を比べるとその違いが分かります。
目に見える症状を比べると、風疹は麻疹に比べ発熱や発疹などの症状が比較的軽く回復までの時間も短いため、「風疹なら症状が軽いから心配はいらない」と安易に考えてしまいがちですが、それは大きな間違いです。
風疹の最大の脅威は「妊婦が風疹に罹ると胎児への影響が発生する」可能性があることです。
もちろん「麻疹ならば妊娠中に罹っても大丈夫」という訳ではありません。
妊娠中に風疹にかかると胎児にどんな影響があるの?
妊娠初期の場合、70%の確率で「先天性風しん症候群」を発症する可能性があります。
先天性風疹症候群は心奇形、白内障、難聴を起こす可能性があります。
特に妊娠初期、10週までに胎内感染が起きてしまうと、高い確率で心臓の奇形や眼症状を発症します。
妊娠中はいつまで気を付ければ大丈夫なの?
妊娠18週を過ぎると赤ちゃんへの風疹の感染率は大幅に減少し、先天性風疹症候群を発症する確率はほぼなくなると言われています。
しかし、聴覚が完成するのは他の器官よりも遅く、妊娠中期での感染による聴覚障害も報告されており、妊娠中期までは風疹にかからないよう注意が必要です。
風疹の予防接種について
風疹の予防接種は2回していれば、ほぼかからないとされる。
しかし、以下の人は一度も予防接種を受けていない可能性が高い。
1979(昭和54)年4月1日までに生まれた男性(39歳以上)
1962(昭和37)年4月1日までに生まれた女性(56歳以上)
また、一度しか予防摂取していない世代もある。これだけでは、不十分だ。
1990(平成2)年4月1日までに生まれた男女(28歳以上)
厚生省は風疹の予防接種の必要性を説く
厚生省は1回しか受けていない世代や未接種の世代、妊婦の同居中のご家族も予防接種の徹底を呼びかけている。
風疹ワクチンや、麻疹(はしか)と風しんの混合ワクチン(MR)は病院で1万円前後で受けることができるそうだ。流行を防ぐためにも、改めて2回の摂取をっ徹底したいものです。
風疹の主な検査方法
風疹の抗体があるかどうかを調べる方法は3つあります。
- 風疹ウイルスに対する抗体の検出(血液検査)
- 咽頭拭い液や血液、尿、髄液などを用いた病原体の特定(ウイルス分離)
- ウイルス分離と同様の検体を用いた風疹ウイルス特有の遺伝子の特定(PCR法)
風疹の治療方法
症状を抑える治療
風疹ウイルスに有効な抗ウイルス薬はありません。
一般的には、合併症の発症がなければ自然治癒をする病気であるため、症状を緩和する治療(対症療法)が行われます。
風疹の出席停止期間
児童・生徒が感染した場合、学校保健安全法で「発疹が消失するまで出席停止」と定められています。
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